アメーバの観察

 

突然ですが,みなさんは本物のアメーバを見たことがありますか?アメーバは水中の微生物の中で有名な方だと思いますが,見たことがある人は稀ではないでしょうか.今日はアメーバも見つかる水中の微生物の観察法をご紹介します.


今回の観察法で発見したアメーバ

中学校や高等学校の生物では水中の微細物観察をよくやると思いますが,なかなかうまくいかずに苦労されている先生も多いのではないでしょうか.私も中学校教員時代に何度も挑戦しましたが,ことごとく失敗していました.その理由の一つが,試料となる水が悪いことです.いくら生徒が一生懸命に探してもほとんど見つけられず,挙句の果てにやる気を失ってしまうのです.

もっともよい解決方法は微生物がたくさん棲んでいる水をもってくることでしょう.でも,どこからそんな水を採取してくればよいかが問題です.

その問題を解決してくれたのが,「デジタル化・神戸の自然シリーズ」に含まれる水中の微生物のページでした.

www2.kobe-c.ed.jp/shizen/micrform/index.html

これによると,田植え直後の水田にできる「緑の泡」(赤っぽい泡もOK)にたくさんの微生物がいるということでした.

このことに気づいたのは私が大学院にいた20年近く前のことでしたが,その頃の大学院のなかまとともにこの情報が適切なのかどうかを調べてみることにしました.

まず,田植えのすぐ後にできる水田の緑の泡を探します.地域によって違うでしょうが,5月~6月くらいでしょうか?

田植え後の水田にできる緑の泡

この泡をすくい取ってきて,最初は半信半疑で観察してみました.
しかし,顕微鏡を覗いた瞬間に驚くほどたくさんいる微生物にびっくりしたのを覚えています.

100倍で観察した水田の緑の泡

何度も観察しているうちに徐々に慣れてきたのか,これまで見つけることができなかった微生物を発見できるようになってきました.そしてやっとアメーバにも出会えました.(上の写真).
だんだん慣れてくると,結構たくさんアメーバがいることに気づきました.やはりアメーバがどのように見えるのかを知っておくことが観察の効率を上げる秘訣でしょう.生徒にも闇雲に「アメーバを探そう!」と言ってはダメで,具体的な知識を与えておかなければならないでしょうね.

アメーバ以外にも次のような微生物を発見することができました.







おそるべし水田の「緑の泡」という感じです.これなら何も発見できないと意欲を失う生徒はいないはずです.

観察する際には,以前に紹介している自作顕微鏡カメラを使って写真や動画を撮影することをお勧めします.きっとリアルな観察記録が残せるはずです.

しかし,この記事をアップするに当たり,非常に後悔していることがあります.それは何かと言えば,「そんなによい飼料であれば,なぜもっと早く教えてくれなかったのか!」という声が聞こえてきそうだからです.もう今年の田植えは終わっている地域が多いでしょうね.すみませんでした.

ぜひ来年度の計画には水田の「緑の泡」を使った水中の微細物観察を入れてみてください.


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